【KAWASAKI W】
カワサキ往年の名車W3を基本モチーフとした車両が最近いくつか復刻されてますね。
空冷バーチカルツインエンジンには現代の水冷マルチエンジンには無い優美さを感じます。
今時のチョッパー風にも当時のビンテージ風にも、どんなスタイルにカスタムしても
バリッっとキマリそうな、ベース車としての懐の深さも感じさせる1台です。
バリバリのオールドスタイルで仕上げられたこの車両。
パッと見はノーマルですが、実は40箇所以上のこだわりカスタムが施されているらしいです!
このペイントも実はすでに他所でオーダーペイント済みなのですが、
タンクのグラフィックラインの角度やバランス、エンブレムの位置が
オーナーさんのイメージと合わず、当方でもう一度塗り直す事になったのです。
理想は天よりも高く。
 
塗り直しといっても基本的には丁寧な仕事が施されていたので、現状塗膜に
2液のサフェーサーを塗装して下地にするつもりだったのですが、よくよく塗膜を観察すると
表面にプツプツしたモノを発見してしまいました。もしかしてブリスター??(左)
現状塗装はラインの段差をクリアーでフラットに仕上げてあるので、クリアーを厚く吹いた事による
ワキ(ピンホール)の可能性も考えられましたが、試しに一部をサンディングしてみると
クリアー層だけの問題では無く、その下から発生しているのが確認されました(右)
こうなると、やはり剥離を行い下地から作り直した方が安全確実ですね。
特に今回はこだわりの塗り直し、これが最後の塗装作業にするのです!

と、言う訳でブラストです。
本来この年式の純正塗膜だったら必要の無い作業だったのですが。。
ブラストしてみると、タンクパッド部にスタッドで引き出された形跡が。
只今板金中。ここは繊維の入った強靭なパテを使用します。
サイドカバーにも同じ塗膜トラブルが発生していたので表裏ブラスト済み。
下地塗料を塗装したら、熱乾燥へ。
各下地処理/ベース色ペイントが終了し再び乾燥室で熱をかけます。
ベースカラーは深~いキャンディーブルー、テカテカに塗り上がっております。
お次は今回のメインイベント、グラフィックの位置決め。
何てったって、ここのイメージが違う為に当方で塗り直す事になった訳ですから、
そりゃ気を使いますよ。ここは。
オーナーさんが用意してくれたグラフィックパターンの資料にはこんなモノまで!
全編にわたって今回のモチーフとなった車両が活躍する「彼のオートバイ彼女の島」のDVDです。
話の内容はともかく、本編開始から3:10、5:50、10:52、11:02、12:10、41:11あたりの
カットはタンクのグラフィックパターンの参考にはなりましたよ(笑)
塗り分け塗装も無事終了し、バリッと磨けばこのとおり!
深~いブルーなの分かります?
パーツを車体に組み付けたら、エンブレムの貼り付へ。
そして完成!
オーナーさんが気にしていたグラフィックの角度やバランスもバッチリ!
今回の場合、モチーフとしているタンクとこの車両のタンクはかなり形状が違う為に
オリジナルをそのまま再現するのでは無く。オリジナルのイメージを再現する事が
必要になってきます。単純そうですがなかなか難しい作業でした。